日本人メジャーリーガーでは最年長のイチロー選手が、オフに2018年の所属先がなかなか決まらなかったために「引退の危機か?」と言われました。
イチロー選手に限らず、ストーブリーグは多くの選手が自由契約、引退発表が多くなる時期になります。
あなたは引退選手のその後がどのように保障されているのか、気になりませんか?
その一つの制度として、手厚い優遇で知られるメジャーリーグの年金制度があります。
あなたはメジャーリーグの年金制度の有資格条件や手厚さをご存知でしょうか?
ここではメジャーリーグの年金制度の概要や、桁違いな年金額、日本との比較を解説していきます。
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メジャーリーグの年金制度がスゴイ!いつからいくらもらえるの?

まずメジャーリーグの年金制度について、
- 概要
- 有資格者条件
- いくらもらえるのか?
- いつからもらえるのか?
- 登録年数と支給率早見表
- イチローはいくらの年金がもらえる?
について、詳しく見ていきましょう。
メジャーリーグの年金制度の概要
メジャーリーグの年金制度は、選手会によって年金が運用する終身年金です。
1日でもメジャー登録された選手は有資格者となり、10年間選手登録期間があると、死亡するまでの間、年金が支給されます。
選手会が運用しているということに驚きですが、一番の特徴としては、選手が掛け金や保険料を負担しない年金ということです。
気になる財源は、肖像権などのライセンス収入、莫大に膨れ上がっているTV・インターネット放映権などのリーグ収入で、この収入から一定額が「メジャーリーグ選手年金基金」に拠出されています。
年金の有資格者になるには?
前述の通り、1日でもメジャー登録した選手は有資格者になります。
10年間のメジャー登録で満額の年金が支給されますが、10年以上登録していたとしても金額は変わりません。
年数のカウント方法は「172日のアクティブリスト登録=1年」となります。
よく耳にする故障者リスト(DL)に入っていてもこの日数にカウントされるので、メジャー登録選手はかなりの厚遇といえるでしょう。
その一方でマイナー選手は有資格者になりません。
マイナーリーガーが必死でメジャー契約にこだわる理由の一つになります。
年金はいくらもらえる?
年によって変わってきますが、満額で21万ドル/年と言われています(1ドル=110円であれば、約2300万円)。
月額に換算すると約192万円。
これが毎月、死亡するまでずっと支給される額となります。
年金はいつからもらえる?
メジャーリーグでは45歳から年金受給を始めることができますが、早めると月額の受給額は当然低くなります。
他にも受給者の生死にかかわらず、給付開始から10年間年金を受け取る「10年確定年金」も用意されており、選手が選ぶことができるのでかなり多様性があるといえます。
年金の内訳としては、一定額が確実に保証される「確定給付金」、年金運用基金の運用によって変動する「変動給付金」から構成されています。
登録年数と支給率早見表
メジャーリーグの年金制度は、
登録年数によって支給率が
変動されていきます。
登録年数と支給率を早見表にまとめます。
登録年数 | 支給率 |
---|---|
5年間登録 | 50%支給 |
6年間登録 | 60%支給 |
7年間登録 | 70%支給 |
8年間登録 | 80%支給 |
9年間登録 | 90%支給 |
10年間登録 | 100%支給(満額) |
日本人で10年以上メジャー登録がある選手は、野茂英雄選手、大家友和選手、松井秀喜選手、イチロー選手の4名です。
イチローは満額支給対象で年間約2300万円受け取れる!
イチロー選手は、17年間メジャーリーグに在籍していますので、既に満額に達しています。
考えたくはないですが、今仮に引退したとしても、1年間で約2300万円の年金を受け取れるということになります。
老後の生活資金どころか、かなり贅沢な生活も送れる金額ですよね。
松井秀喜はギリギリ10年で満額支給の対象になった!
2012年に現役を引退した松井秀喜さん。
ニューヨーク・ヤンキースでの活躍が記憶に新しいところですが、メジャーリーグでの最後の年はタンパベイ・レイズに所属していました。
レイズとの契約は当初マイナー契約だったのですが、その後メジャーに昇格します。
そして、このレイズでのメジャー昇格で松井秀喜さんは10年メジャーリーグに在籍した選手となりました。
つまり「満額支給」の対象となったのです。
9年間登録だと90%の年金支給額となります。
1年の違いでも日本円にして年間で200万円ほど支給額に差が出てきます。
松井秀喜さんがメジャーに渡ったのは29歳になる年の2003年でした。
決して早い時期でのメジャーデビューではありませんでしたが、10年間メジャー登録があった選手ということは活躍した証です。
日本のプロ野球の年金制度
日本プロ野球の年金制度は、10年以上の選手登録が受給資格条件となります。
メジャーリーグとは異なり1軍、2軍全ての選手が対象になります。
支給額は、年間100万円強(月額10万円程度)で、55歳以降に支給される終身年金です。
しかし増えていく受給者に対する財源不足が明らかになり、2012年に一度白紙に戻され、プロ野球独自の年金制度は廃止されました。
現在は、プロ野球野球がサムライジャパンやリーグ収益から、年間3億円程度を「国民年金基金」に積み立てているそうです。
選手会は、新たな枠組みを模索しているとのことなので、今後改善されることを期待したいですね。
- 10年以上の選手登録で有資格
- 支給額は月額10万円程度
- 55歳以降にもらえる終身年金
日米の年金制度の差異はなぜこんなに大きいの?
単純に比較は難しいですが、日米の年金制度はかなり異なるといえるでしょう。
日米の年金制度自体の差異や支給額の差異、そしてなぜこのような大きな差異があるのかを見ていきましょう。
年金制度自体の差異
日:既存制度(国民年金)
米:独自制度
支給額の差異(年間)
日:約120万(国民年金のため毎年変動)
米:約2000万(満期の場合)
なぜこんなに大きな差異がある?
支給額みても、メジャーリーグの選手会は「世界最強の労働組合」と言われる所以がわかりますよね?
メジャーリーグの選手会は、年金制度だけではなく、FA制度や賃金、労働環境など選手のために様々な権利を勝ち取っており、日米との差は根底的な部分にあるといえます。
特に年金支給額に大きな差異がありますが、なぜこんなに大きな差異があるのでしょうか?
それはメジャーリーグの収益分配のメカニズムにあります。
メジャーリーグの年金の財源は、テレビなどの放映権料やライセンス収入でまかなわれています。
また、年金の保険料も含め、選手は一切の保険料を負担しません。
メジャーリーガーの年金支給額が大きいのは、収益を正当に分配するメカニズムが確立されているからです。
莫大なメジャーリーグの収益を正当に分配するメカニズムによって、年金をはじめ年俸や福利厚生制度の充実、また産休などの家族への配慮といった権利まで選手は持っています。
まさに「世界最大の労働組合」ですね。
メジャーリーグの年金制度まとめ

メジャーリーグの年金制度をあなたはどう感じましたか?
メジャーリーグは、最大1200名がドラフト指名できるので、その分入れ替わりがかなり激しいです。
その狭き門をくぐり抜けて、メジャー契約できた選手だけが得られる特権ともいえる年金制度は、かなり破格の額ですね。
もちろん1年だけの活躍だけではなく、コンスタントに活躍し続ける必要があるので、満額で受給できる選手はかなり限られます。
「アメリカは日本に比べて競争社会で、適者生存、勝者は優遇されるが、敗者は潮働のように捨てられる。」
それをまさに体現しているといえます。
それに比べ、日本のプロ野球はまだまだ課題があるといえます。
プロ野球選手は平均8.9年と言われており、多くの選手は一般的に働き盛りの30代では引退し、セカンドキャリアに不安を抱いています。
メジャーリーグの真似をするのは制度の成り立ちや文化、背景を考えると非現実的ですが、今後の選手の為にも日本文化に沿った、新たな独自制度を作り上げてほしいです。
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