2015年3月、ダルビッシュ有投手がトミージョン手術を受けたことは、日米ともに野球界にとって大きなニュースになりました。
普通の選手であれば悲観的に考えそうなところですが、ダルビッシュ有投手はリハビリ期間をトレーニングと栄養学の勉強の時間とプラス思考に考えており、独自の理論で努力している様子は多くの野球ファンの注目を集めましたよね!
ここでは、実際に野球選手としてダルビッシュ有投手は筋肉つけすぎなのか?
ダルビッシュ有投手の独自の理論や栄養学を基に、徹底検証してみました!
スポンサーリンク
ダルビッシュ有の筋力増加に対する考え方

ダルビッシュ有投手の筋力増加に対する考え方を簡単にまとめると、
「筋肉はつければつけるほど良い。筋肉が増加する事によってスピードやスタミナもあがるし、怪我をしやすくなるということもない。外国人はみんな筋肉をつけているし、筋肉増加により怪我をしているということもない」です。
メジャーリーグでプレーしていることもあり、周りの外国人選手と日本人選手を比較して、客観的に第三者目線で結論を出していることがうかがえますね!
日本人選手は、「技術力が高いのになぜメジャーでなかなか通用しないのか?」というところをコンセプトとして、通用しない理由を「筋力の違い」と捉えています。
また、筋肉を大きくすると怪我をするリスクが高くなるといった意見に対しても、ダルビッシュ有投手は筋肉の肥大と怪我のリスクは関係性が無いと言っています。
ダルビッシュ有投手のトレーニング理論

ダルビッシュ有投手は、
「僕はもともと筋力が高いわけではなく、遅筋が多い体質。だから全体の筋肉量を増やす必要がある」
と話しており、日本でおなじみの“走りこみ・投げ込み”ではなく、“筋肉を太く大きくする”ということを目的としてウエイトトレーニング行っています。
その中でも、ただ闇雲にウエイトトレーニングをして体を大きくしているのではなく、ピッチングのパフォーマンスを高める上で必要なもの、必要でないものを区別してトレーニングしているようです。
例えば、
・肩はあまり鍛えない
・ベンチプレス100キロ以上はやらない
という考え方は、箇所によっては筋肉を大きくすることでパフォーマンスが落ちるということを理解していて、鍛える箇所、肥大量を計算していることが伺えます。
また、「腰に負担のかかるトレーニングはしない」と言っており、怪我に対するリスクも考えているようですね。
外国人の質の高い筋肉に負けないための対抗手段として、筋肉の大きさと箇所にこだわっているのですね!
ダルビッシュ有の栄養管理

トレーニングだけではなく、栄養管理に関しても徹底的に考えているダルビッシュ有投手。
「まずくても良いものなら食べるし、美味しくても悪いものは食べない」
と、味に一切こだわらずストイックに自分の健康や筋肉のことのみを考えて食事をしています。
「食事=栄養の摂取」という考え方です。
私たちの味を楽しむとか、空腹を満たすといった、ごく当たり前の食事の動機とは違いますね。
そんな食事に対しても、愚直に体作りのことを考えているダルビッシュ有投手が、よく摂取している食材をいくつかご紹介します。
鶏肉
タンパク質、ビタミンBが豊富に含まれておりカロリーが低い
卵
中でも卵白には消化の良いタンパク質が含まれており、エネルギー量も少ないです。
ブロッコリー
ビタミン類、食物繊維、カリウムなどを豊富に含んでおりビタミンCはレモンの倍です。
トマト
トレーニングをした後に摂取すると筋肉損傷の回復効果があります。
アボカド
ビタミン10種類、ミネラル11種類を含んでおりその栄養価の高さから天然のマルチビタミン&ミネラルと言われています。ちなみに、世界一栄養価の高い果物としてギネスブックに認定されています。
サプリメント
いろいろなサプリメントを摂取しているようですが、一番重要としているのがプロテインです。起床後、練習前、練習後、就寝前と一日4回摂取しているようです。
数字で見る筋肉トレーニングの効果

ここまでは、ダルビッシュ有投手の筋肉に対する考え方、トレーニング論、栄養管理についてお話しさせていただきました。
その中で、「筋トレや栄養学に力を入れて実際に効果は出ているの?」という疑問が私の中で浮かびましたので、手術前(トレーニング前)と手術後(トレーニング後)の成績を数字にまとめてみました!
※2015年3月にトミージョン手術を受ける
※2016年5月28日に復帰
<手術前のファストボールの平均球速と手術後の平均球速>
手術前 :平均球速 約147キロ前後
手術後 :平均球速 約151キロ
平均球速:約4キロアップ
<年度別成績>

<手術前と手術後の平均値と乖離数>
※2012年~2014年の3年間=手術前 2017年=復帰1年後のシーズン
※青文字=良くなっている項目 赤文字=悪くなっている項目
復帰した2016年はシーズン途中の復帰という点とリハビリ登板も多かったので比較対象から外しました。
2017年の成績と手術前のMLBシーズン3年間の平均を比較すると、
平均球速:手術前より約4キロアップ
打者 :手術前より12人多く投げられている
投球回 :手術前より4.7イニング多く投げられている
被安打 :手術前より14本多く打たれている
被本塁打:手術前より9本多く打たれている
与四球 :手術前より15個少ない
奪三振 :手術前より18個少ない
失点 :手術前より13点多く取られている
自責点 :手術前より14点多く取られている
防御率 :手術前より0.60高い
となっています。
手術前より多くの打者とイニングを投げられていることと、平均球速も4キロも上がっていることから、筋トレと栄養管理を行ったことで、より「タフ」になり「パワーアップ」したことが分かります。
そして、パワーアップしたことで自分の投げるボールに自信がついた分、ストライクゾーンのギリギリではなく、アバウトに投げ込めるようになったことから与四球も減ったのではないでしょうか?
ちなみにその他項目の成績が落ちている原因として一番有力なのが、ダルビッシュ有投手の一番の武器である「スライダー」のキレが落ちたことと言われています。
ストライクからボールになる球で、バットを振らせる率とバットに当てられる率が悪くなっていることが原因のようです。
ダルビッシュ有とイチローの筋肉に関する考え方の違い
日本を代表するメジャーリーガーの二人の筋肉に対する考え方の違いをまとめました。
「筋肉はつければつけるほど良い。筋肉が増加する事によってスピードやスタミナもあがるし、怪我をしやすくなるということもない。外国人はみんな筋肉をつけているし、筋肉増加により怪我をしているという事もない」
「人間持って生まれたバランスが大切で日本人が外国人の真似をしても怪我をするだけ。 パフォーマンスも落ちる。筋肉をささえる関節や骨の頑丈さが外国人とは違う。」

お二方、意見が割れていますね!
この考え方の違いは、
「ダルビッシュ有が正しい!」いや、「イチローが正しい!」
とそれぞれ賛否両論で意見が分かれるかと思います。
どちらが正しいかを決めるとなると、とても難しい問題かと思いますが、先ほどお話したダルビッシュ有投手のトレーニング(手術)前と後の成績データを基に考えると、考えがまとまるかもしれません!
筋肉の肥大は良いことか?怪我のリスクはあるか?
トレーニング前と後の成績の結果から言うと、平均球速が上がり、多くの打者、イニングを投げられている事から筋肉が肥大したことで、よりタフになりパワーアップしていることがうかがえます。
つまり、ダルビッシュ有は筋肉を肥大させることでスピードやスタミナが上がると言っていましたが、それが正解であると証明をしています。
また、2017年は1年間を通して投げられたことから、怪我のリスクについても問題ないことを結果で証明してくれました!
筋肉肥大によりパフォーマンスは上がるか?
平均球速が上がっているというところに関しては、パフォーマンスが上がるということを証明出来ていると思いますが、成績をトータルで見るとパフォーマンスとして、下がっていると判断されてもおかしくない結果となっていますね。
身体的ポテンシャルは上がるけど、成績としては下がるという結果になっています。
こちらは、両者甲乙付けがたく、どちらの意見も正解と言える結果ではないでしょうか?
結果として、筋肉を肥大させた方が良いということを証明したダルビッシュ有投手ですが、イチロー選手の考え方も決して間違いでは無いかと思います。
イチロー選手の場合、外国人と比べると体も小さく、骨格も細いため無理に筋肉を大きくするとパフォーマンスも下がるし、怪我のリスクも高くなると思います。
車で例えるなら、スポーツカーのエンジンに大型トラックの車体を組み立てる様なものです。
そうしちゃうと、本来出せるはずのスピードは出せないし、故障の可能性も極めて高くなると思います!
逆に、大型トラックのエンジンでスポーツカーの車体なら、ポテンシャルを活かすために大型トラックの車体を組み合わせた方が良いのではないかと考えるかもしれません。
ダルビッシュ有は筋肉つけすぎ?まとめ

野球選手は筋肉つけすぎたら駄目だという意見が多い中、2017年のシーズンでダルビッシュ有投手は結果で間違っていないことを証明しましたね!
また、スポーツ選手のトレーニングや食事は「気合・根性・ガッツ」というイメージが定着している中、独学で学び結果につなげているというインテリな一面を見せてくれました。
もしかしたらダルビッシュ有投手の影響で、今後の野球界はインテリ野球選手が活躍する時代が来るかもしれませんね!
コメントを残す