サンディエゴ・パドレスへの入団が決まった牧田和久投手。
日本では、球界を代表するサブマリンとして活躍をしてきましたが、はたして牧田和久投手はメジャーリーグで通用するのでしょうか?
今回は、牧田和久投手がメジャーリーグで通用する理由の3つはコレ!といえるものを特徴を交えてご紹介します。
スポンサーリンク
牧田和久投手のプロフィール

まずは牧田和久投手のプロフィールや彼の投球の特徴、経歴についてまとめます。
基本情報
名前 :牧田和久(まきた かずひさ)
出身地 :静岡県焼津市
生年月日 :1984年11月10日(33歳)
身長 :約177cm
体重 :約85kg
利き腕 :右投げ・右打ち
ポジション:投手
出身高校 :静清工業高等学校
出身大学 :平成国際大学
社会人 :日本通運
プロ入り前までの経歴
牧田和久投手が西武ライオンズに入団するまでの経歴です。
静清工業高等学校時代
牧田和久投手は、焼津市立小川中学校から静清工業高に進学後、同校の野球部に入部しました。
「2番手投手は打者の目先を変えるために、技巧派投手を作る」という監督の方向性もあって、高校1年生の秋にアンダースローに転向しました。
当時投手コーチだった薮崎雄大副部長は、「体が柔らかくて手首も強く、センスの良さは抜群だった」と当時のことを絶賛しています。
そのセンスの良さで、アンダースローでは難しいとされるコントロールも抜群に良かった牧田和久投手は、打者から見たら浮き上がるようなストレートを武器に自分の投球スタイルを確立させていきます。
平成国際大学
平成国際大の大島義晴監督は、牧田和久投手を始めてみた時の印象をこのように語っています。
「しなやかで力感がないのにストレートが伸びる。鍛えたら、アンダースローだけど、球が速くなるんじゃないか」
「俗に言う“体重移動が良い”とか“体幹がしっかりしている”とかは後付けで、良い選手はパッと見て“鍛えたらこうなるかな”という想像がつく選手です。牧田の場合は、その場で“アンダースローのパワーピッチャー”というコンセプトが浮かびました」
牧田和久投手の才能を一目で見抜いた大島義晴監督は、その足で静清工業の監督に挨拶に行き、牧田和久投手は平成国際大に入学する事になります。
入学後、大島義晴監督は牧田和久投手の武器である“力のあるストレート”を徹底的に磨き上げます。
なんと、変化球やクイックを一切禁止にして、とにかくストレートだけを練習させました。
そのおかげで、牧田和久投手は現在に生きる、力のあるストレートの高低の使い方を覚え、2年時には大学日本代表入りも果たし、日米大学野球選手権大会にも出場しました。
日本通運時代
大学を卒業した牧田和久投手は、社会人野球のある日本通運に入社しました。
日本通運は、埼玉県さいたま市浦和区にある南関東を代表する社会人野球の強豪チームで、都市対抗や日本選手権大会で多数の優勝、準優勝を誇り、たくさんのプロ野球選手を輩出していることで有名です。
大学時代に高低に力のあるストレートを投げることを覚えた牧田和久投手は、社会人になって高速シンカー(シュート)を覚えました。
そのことによって投球スタイルに幅ができ、第81回都市対抗野球大会で完封勝利を上げる活躍を見せました。
第65回JABA東京スポニチ大会の対明治安田生命戦では、7回コールドゲームながらノーヒットノーランを達成するなど、プロ野球のスカウトの目に留まるほどの結果が出るようになりました。
そういったこともあり、2010年10月28日に行われたプロ野球ドラフト会議で、埼玉西武ライオンズから2巡目で指名され、契約金7000万円、年俸1300万円で仮契約を結び、プロ野球の門を叩くこととなります。
投手としての特徴
経歴でも書いたとおり、牧田和久投手は珍しいアンダースロー投手です。
ここでは、牧田和久投手の特徴やピッチングスタイルについて見ていきます。
ストレート
牧田和久投手の場合は、アンダースロー投手の中でも特に低い位置からボールを投げ、地面ギリギリの所から放たれるストレートは平均球速128キロ、最高球速は137キロになります。
プロの打者も、「投げた時は膝の高さに見えたボールが打ちに行くと顔の辺りに来ている」と表現する通り、ソフトボールの“ライズボール”のような浮き上がる軌道を描きます。
変化球
牧田和久投手は、スライダー、スローカーブ、高速シンカー、チェンジアップといった変化球を投げる投手です。
特に武器としている変化球はスローカーブと高速シンカーで、スローカーブは球速80キロ台で、ストレートの前後に投げることで緩急と奥行きを生み、高速シンカーは、ツーシーム、ワンシームのような握り方で小さな変化でバットの芯を外すことに効果的な変化をします。
ピッチングスタイル
牧田和久投手は、早い投球テンポでボールを投げることによって、バッターに十分な準備をさせません。
また、フォームに強弱をつけて打者のタイミングをずらすなど、バッターを幻惑するような投球スタイルです。
ストレートに関してもいろいろな握りで投げることで、同じ球種でも速度に変化が生まれます。
西武ライオンズでの実績

日本での通算成績は、276登板、投球回921、打者3829人に対して、53勝49敗、25セーブ、54ホールド、514奪三振、防御率2.83となっており、新人王・2011年ゴールデン・ルーキー賞・月間MVP・特別賞3回を獲得しました。
また、オールスターゲームにも4回の出場を果たしています。
牧田和久投手がメジャーリーグで通用する理由3つはコレ!

ここまで、牧田和久投手の今までの経歴や特徴について書きましたが、次に牧田和久投手がメジャーリーグで通用する理由を3つ挙げてみました。
理由①:メジャーリーグにはアンダースローが少ない
メジャーリーグで通用する理由として、まず「メジャーリーグにはアンダースロー投手が少ない」ということが挙げられます。
30球団あるメジャーリーグ球団の中でも現在確認されているアンダースロー投手は、
- ダレン・オディ(オリオールズ)
- ブラッド・ジーグラー(マーリンズ)
- ジョー・スミス(アストロズ)
- パット・ネシェック(フィリーズ)
この4人だけで、過去のメジャーリーグの歴史を見ても現役選手を含めて14人しか確認されていません。
これだけ数が少なければ、試合で対戦することも稀ですし、そういう投手の対策としての練習もしないでしょう。
よって、投げるボールのキレや球速よりも、アンダースローの経験値や慣れの部分で、最初はバッターも苦戦するはずです。
メジャーリーガーといえども、経験や練習をしていないタイプの投手のボールを打つことは骨が折れる作業だと思います。
メジャーリーグの各バッターが、牧田和久投手のアンダースローに慣れるまでの間は、十分に安泰と言えるのではないでしょうか?
ちなみに、何故メジャーリーグにアンダースロー投手が少ないかと言うと、実はアンダースローはメジャーリーグの中で半分タブーになっているようなんです。
もともとアンダースローはコントロールが難しい上に、球の出所が見えにくいためバッターにとって危険な球が来ても避けにくい危険な投げ方だと言われています。
遡ること1920年のある試合で、アンダースロー投手の投げたボールがバッターの頭に当たり、翌日に亡くなってしまうというニュースがありました。
そこから、アンダースローはタブーと言われるようになっていったようです。
もちろん、ルールとして投げたら駄目だということは全く無いですし、そもそも牧田和久投手はコントロールも良い投手なので全く問題ないとは思います。
メジャーリーグにアンダースロー投手が少ないのには、過去にデッドボールで亡くなってしまった選手がいた、という理由があったんですね。
理由②:過去のアンダースロー投手が良い成績を残している
2つ目のメジャーリーグで通用する理由として、過去のアンダースロー投手が良い成績を残しているということが挙げられます。
過去のアンダースローメジャーリーガーはどのような成績を残したのでしょうか?
メジャーリーグを代表するアンダースロー投手3人を簡単に紹介します。
ダン・クイゼンベリー
1980年代前半のメジャーを代表するリリーフエース。
最多セーブ投手:5回 (1980年、1982年から1985年)
最優秀救援投手:5回 (1980年、1982年から1985年)
ローレイズ・リリーフマン賞:5回 (1980年、1982年から1985年)
MLBオールスターゲーム出場:3回 (1982年から1984年)
チャド・ブラッドフォード
196センチの長身であるにも関わらず、たまに地面に手が付くくらい地面スレスレのところから投げるアンダースローピッチャー。
2002年8月にESPNから「メジャー屈指の中継ぎ投手」と大きく取り上げられました。
この年は75試合に登板し、成績を分析した球団は、チーム内で一番信頼できる投手であり、球界でも最高レベルの救援投手と結論付けました。
ブラッド・ジーグラー
サイドスローに近いアンダースローのピッチャー。
約136キロのシンカーを多投して、ゴロの割合が通算66%のグラウンドボールピッチャーです。
最高ホールドが2014年の29ホールド、最高セーブが2015年の30セーブ、10年間の通算防御率2.61と安定している優秀なリリーバーの一人です。

この他にも、ダレン・オデイ、パット・ネシェックはオールスターにも選ばれており、アンダースロー投手は数か少ないのにも関わらず、高い確率で成功していることがわかります。
メジャーリーグでまだ1球も投げていない牧田和久投手ですが、アンダースローで成功している投手が多いと言うことを考えると、日本で見せたパフォーマンスや実績をそのままメジャーの舞台でも発揮してくれるのではないでしょうか?
期待大ですね!
理由③:制球力の素晴らしさ
メジャーリーグで通用する理由の3つめとして、「制球力の素晴らしさ」が挙げられます。
アメリカの情報サイトによると、与四球数が9回を投げた平均がわずか2つだったことを強調しています。
141回と1/3を投げた過去2シーズンで四死球は34、その中で13死球があったことも追記。
その制球力の素晴らしさはメジャーで成功する要因になると評価しています。
また、右バッターの芯がよく外されていることについても触れており、奪三振率、四死球率、バッターの芯を外す能力は今オフ、ナショナルズで今季29Sのストッパー、ブランドン・キンズラーや、マーリンズのブラッド・ジーグラーに近いものがあります。
「この投球技術には、現在の大リーグで成功している確かな先例がある」
と、牧田和久投手がメジャーリーグで成功する可能性を好意的に報じた、と記されています。
パドレスの牧田和久がメジャーリーグで通用する理由まとめ

ここでは来季からサンディエゴ・パドレスに入団する牧田和久投手の経歴や、メジャーリーグでも通用する理由3つを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
牧田和久投手の独特の投球スタイルやアンダースローの成功事例を踏まえると、十分メジャーリーグでも通用すると考えられます。
- メジャーリーグにはアンダースロー投手が少ない
- 過去のアンダースロー投手が良い成績を残している
- 制球力の素晴らしさ
この3つが牧田和久投手がメジャーリーグでも通用するのではないか、という理由です。
現在アンダースロー投手は絶滅危惧種ですが、もしかしたら牧田和久投手の活躍次第でアンダースローの投手が今後増えてくるかもしれないですし、そうなるように願いたいものです。
ときには「一風変わった」投げ方をする投手にスポットライトを当ててほしいですね。
野茂英雄さんのように・・・。
【関連記事】
コメントを残す